脳梗塞の後は、比較的穏やかなスローライフが続いています。
人は大きな体の不調に出会うと、人生観そのものにも微妙な変化がある生き物のようですね。
今回は大好きな「海」のイメージビデオを作ってみました。もちろん、古き良きペナン島の海もたくさん登場します。







かすかに聞こえてくる「潮騒」の音
青く静かな海が目を閉じていた。
波はまばたきのように岸を撫で、寄せては返すその呼吸の中で、時が溶けていく。
無色透明な赤道直下の風が、名もない物語を運び、耳元でかすかにほどける。
その風は形を持たないのに、確かにここに在り、私の胸の奥をやわらかく叩く。
小さな船たちは水面に浮かぶ思考の断片のように、揺れながらも沈まず、それぞれの静寂を抱え込んでいる。
船のなだらかな木の縁が、なにか私にささやいている。
「遠くへ行け」とも、「ここに留まれ」ともつかぬ、曖昧でやさしい声で。
沖に佇む岩は、時の外側に置き忘れられた記憶のようだ。
その影に寄り添う緑は、海のまどろみを見守る番人のように揺れ、光を浴びては、ひそやかな祈りを繰り返す。
空気は驚くほど刺激的で爽やかだった。
それはただの空気ではなく、遠い旅の気配や、まだ知らぬ土地の匂いを含み、胸いっぱいに吸い込むたび、世界が少しだけ広がる気がした。
波間にきらめく光は、言葉になる前の感情のように砕け散り、また新たに生まれては、静かに消えていく。
その繰り返しの中で、私は自分という輪郭を見失い、同時に、ようやく触れた気がした――
この果てしない青の一部であるという、確かな実感に。








